『黄色い家』川上未映子

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黄色い家 (単行本)

宣伝物に

「人はなぜ金に狂い、罪を犯すのか?」

という文言が書かれています。

それだけ見るとありきたりな作品という印象ですが

面白い小説です。

お金の話が中心にあります。

その先に浮かび上がるものが、凄いです。

【絶望と自由の時代のお話】

2023年の今、

幸せに生きるためには

お金持ちになることが

一番重要なことだ。

というようなことが言われます。

お金を持っている者だけが良い価値のある存在で

そうでない者は敗北したカスである。

というような価値観です。

遥か昔からある価値観ですが

それが日本で強固になり始めた時代が

書かれていると思います。

必死で生きようとする人と

違法行為が描かれます。

違法な金儲けは悪いという

単純な話ではなくて、

頑張ってお金を稼ぐこと、

そして

頑張って生きることは

良いことなのか?

というようなことを考えさせられます。

そしてそれ以上に、

「人が集まって共に暮らす」ということに

鋭い視線が注がれています。

親子関係とも

友達関係とも

男女関係とも

違う関係の人たちが登場します

異質で極端な人たちです。

そういう人たちの生活の姿に、

現在まで続く失われた30年の

重要な一面を見ることが出来ると思います。

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黄色い家 (単行本)