小泉進次郎さんの演説を聞いて思ったこと
自民党の総裁選が盛り上がっていますね。
見ていて気になったのが
小泉進次郎さんが
「解雇規制の緩和」を言い出したことです。
労働市場の流動性を高めるために
必要なことですと
小泉さんは言っているようですが
上手くいくでしょうか?
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●失業者激増になるだけかも
解雇規制の緩和をしても
労働市場の流動性は高まらないかも
しれません。
ただ失業者が激増し
失業の長期化の果てに
「見えない存在」になる人や
自殺者が増えるだけで
終わってしまうんじゃないかと思います。
現状は人手不足ですが
それでも中高年、なかでも男性は
再就職で苦労しています。
小泉さんはリスキリングにも
言及されていますが
ハローワークさんが実施する
職業訓練で取得できる
免許や資格をすでに持っている人でも
再就職できない例が少なくないんじゃ
ないでしょうか?
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●能力があっても就職できないメカニズム
実際、極めて高度な資格を持っていても
就職できないこともあると思います。
例えば、倒産に巻き込まれた
55歳の経理部長さんのケースを考えてみましょう。
資本金2000万円で年商が6億円の
キッチン用品を作る企業で
30年以上の経理経験がある大卒の男性です。
資格は日商簿記1級と
税理士試験の科目合格を3つ持っています。
職歴も資格も十分と言えるでしょう。
しかし実際に再就職しようとすると
仕事がないのです。
大企業から見たら、特に珍しい人材ではなく
魅力を感じないから不採用。
同レベルで同業種の企業から見ると
どのポジションで受け入れたらいいのか
わからないから不採用。
そして前よりも規模の小さい企業から
見ると、前の会社よりレベルの低い
ウチに応募してくるなんて不自然じゃないか?
厄介な事情があるかもしれないから不採用。
こんな感じで仕事がなかなか決まらない
こともあるんですね。
最後の例は個人的に経験があります。
あまりにも素晴らしい経歴の人が
ハローワーク経由で応募してきたりすると
産業スパイとか会社の乗っ取りとか
色々考えちゃって、不安になるんですよね。
法律とか制度よりも、日本社会の
価値観とか空気が変わらないと
こういう事例は減らないかもしれません。
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●転職が盛んにならない理由の一つ
本気で労働市場の流動性を高めたいなら、
転職を盛んにしたいなら、
日本の住宅の現実を変えるのが
一番効果があると思います。
転職をためらう理由の一つは
住宅ローンがあるからです。
長い人だと35年もローンを払い続ける
わけですが、それがある限り冒険は出来ません。
職務内容が魅力的な仕事が見つかっても
ローンを払えないような給料なら
転職は出来ません。
今より多少高い給料でも
人間関係などは勤めてみるまで
わかりませんから、やっぱり躊躇します。
年収100万円アップで転職したら、
人間関係が悪すぎて後悔している。
辞めたいけどローンが心配で辞められない。
というのも珍しくないでしょう。
さらに恐ろしいことに
せっかく買った住宅も
多くの場合、買ったとたんに値下がりします。
家を売却して残債を払って
人生を立て直そうとしても
なかなか上手くいかないのです。
東京の一部では住宅の転売で利益が
出ている例がありますけど、
極めて珍しい例外ですよ。
日本の住宅の歴史を見ていくと
一つの会社に縛り付けるために
住宅ローンは開発されたんじゃないかと
思うくらいです。
賃貸住宅が少なかったり、
借りるのが大変だったりするのを見ても
日本は移動と職業選択が不自由な
閉じ込める力の強い社会だと感じます。
こういうあたりを変えないと
労働市場の流動性は高まらないし
社会の発展もないんじゃないですかね?
でもたぶん変えられないでしょうけど。
小泉進次郎さん、
「解雇規制の緩和」だけでなく
「労働時間規制の緩和」も言及していました。
彼で大丈夫でしょうかね?
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