買収ではなく投資だ
トランプ大統領と石破総理の
日米首脳会談がありました。
ほんの少ししか
触れられていませんでしたが
USスチールの買収問題の話もありました。
曰く
「買収ではなく投資だ。」
ということで話をまとめるようですが、
実に微妙なまとめかたです。
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●「感情」を無視できない
USスチールの買収問題は
結局どうなるのでしょう?
日本製鉄さんは目的を達成できるのでしょうか?
USスチールに対する重要な権利を
取れないのにお金だけは出さなければいけない
ということにならないことを祈ります。
トランプさんがアメリカ国民の
感情に配慮するために
慎重に言葉を選んだということかもしれませんが
お金を出す側としては不安が消えないでしょう。
資本主義の原則からしたらおかしな話ですし
民主主義の法律原則からみてもおかしな話です。
民主主義と資本主義を世界で一番
大切にしているはずのアメリカでさえ
USスチール買収問題のようなことが
起きるのを見ると
人間の感情というものの厄介さを
改めて思い知らされます。
自分の国の会社が他国の会社に買われる。
自分たちのものでなくなる。
他国に支配される。
そういうことを感じると
どこの国の人たちも感情的になって
敵対的な行動をするのでしょう。
もっとも、アメリカの某企業が
自分たちに有利な取引をするために
横車を押しているだけのことかも
しれませんから、
実は重大な問題ではないかもしれませんけどね。
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●悪いお金の使い方
今回のトラブルは
1980年代のバブルのころの
悪い記憶がアメリカ人に作用した
可能性もあるようです。
1980年代。
景気が良かった日本企業は
アメリカ企業やアメリカの不動産を
たくさん買いました。
そしてアメリカ人に嫌われたのです。
すぐにバブルが崩壊して
安くアメリカに買い戻された例が
多かったようですから、
投資としては大失敗でしょう。
悪いお金の使い方です。
最終的にアメリカは損しなかった
と思いますがそれでも
その時のことを今も、不快なことだと言う
アメリカ人が少なくないんですね。
感情的な問題は長く残るのです。
アメリカだって自分たちのヘッジファンドが
日本企業を安く買い叩いて大儲けした歴史が
あるのに、他国に対しては図々しいことを
言ってくるんですね。
ですから
法的に正しいから自分たちの要求は通る
などと思わない方が良いでしょう。
後だしジャンケンのように
ルールは変えられてしまうかもしれませんし、
「民主的圧力」で正しい方が負けることも
あるのが現実の世界です。
物理的な暴力もあります。
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●巧妙な男
そういう現実を見ると
これからの日本企業あるいは日本人にとって
必要になるのは「正しさ」よりも
「巧妙さ」なんじゃないかと思いました。
具体的にどういうことかは説明しにくいですが
ビジネスにおいては関係者の
「感情」と「利益」に今まで以上に
目配りと気配りが必要になるでしょう。
それを学ぶための、良い具体例は
実はトランプ大統領かもしれません。
「買収ではなく投資だ。」
微妙な言い方ですが、実に巧妙です。
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